法師温泉法師温泉長寿館
玄関わきに大きな炉が切ってある。主人がせっせとタキギをもやしている。誰かが車座の中に加わると、主人は竹のひしゃくで鉄の茶釜の湯を振舞う。ここは山の宿の社交場。誰かれとなく、きさくに話しの中に飛び込める炎の暖かさが生きていた。今も絶えることなくいろり火燃える炉端に座ると、ぽつりぽつりと語った先代主人の姿が浮かんでくる。「川端先生もここに座って一首を詠まれました。
――山祈る太古の民の寂心
今日新にす法師湯にして――
山も野も川も、けものすら融和して生き、自然を悠久の友とした心こそさびごころであるとさとられたのでしょう」。
法師乃湯は、川底から湧き出す温泉を湯ぶねにし、その上に丸太を組み、杉皮ぶきの屋根をのせた炭焼き小屋を大きくしたような建物。
四つの湯ぶねを太い丸太が仕切り、これを枕にゆっくり湯の味を…という風呂である。或るときは小鳥のさえずりを、初夏は河鹿の音を聞きながらの入湯は、牧水ならずとも、一文にしたためたい素朴な湯宿である。この湯は高峰三枝子と上原謙が入浴したフルムーンの絵になった宿である。
(国登録有形文化財の宿)
基本情報
- 都道府県
- 群馬
- 温泉名
- 法師温泉
- 施設名
- 法師温泉長寿館
- 泉質
- カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉、単純温泉
- 住所
- 〒379-1401 群馬県利根郡みなかみ町永井650番地
- 電話
- 0278-66-0005
アクセス
- アクセス方法
- 車:関越自動車道月夜野ICから、国道17号線経由約40分。
電車:JR上越新幹線上毛高原駅下車、猿ヶ京行きバスで終点下車、法師温泉行きバスに乗り換え法師温泉玄関終点。