貝掛温泉貝掛温泉

 新潟県の貝掛温泉は川端康成著「雪国」・「国境の長いトンネルを抜けると・」の名文で知られる越後湯沢から、群馬との県境の三国峠に向かうバスで約25分。日本三大渓谷の一つで柱状節理の大絶壁で知られる清津川の支流・カッサ川河畔に建つ一軒宿。建物は素朴で端正な庄屋造りで、安らぎや懐かしさが感じられる。
 開湯は鎌倉時代。戦国の武将・上杉謙信公の隠れ湯で関東出兵時にも使われたという。江戸時代には眼病に効く温泉、即ち「めの湯」として知られ、明治時代には「快眼水」の名で温泉水が販売された記録がある。
 貝掛温泉は新第三紀鮮新世に貫入(300万~400万年前という)した石英閃緑岩が湧出母岩。その岩体から温泉が勢いよく自噴している。温泉分析書によると温度35.8℃、湧出量約400ℓ/分、成分総計2291mg/kgで泉質名はナトリウム・カルシウムー塩化物温泉。この深成岩体から湧出する温泉の透明度は大変高い。女将の長谷川史子さんの何よりの誇りは、自噴泉の泉質が開湯以来変化がないことだという。普通、温泉での入浴は40~42℃の浴槽に浸かる。が、貝掛温泉の露天風呂や内湯に直接給湯されている自噴泉の温度は37℃前後。現在は分析書記載の35.8℃よりやや高めだが、それでも普通の入浴温度より低い。しかし、この温度の低い温泉に入ることこそが貝掛温泉の最たる特質なのだ。温度34~37℃の入浴を不感温浴というが、37℃程での入浴の気持ち良さは他に例えようがない。貝掛温泉に一度入浴すれば誰でもそれを実感するだろう。正しくそれは体温と同じで、母親の胎内での記憶が浴槽内で再現されているのだと言う人もいる。不感温浴は当然のこととして入浴時間は20~30分乃至1時間にも及ぶが、その鎮静効果は高い。自律神経の副交換神経の作用が高まるのだという。メタホウ酸が24.0mg/kg溶けた透明度の高い塩分濃度が0.2%強の温泉水は、あたかも市販の目薬のようでもある。パソコン疲れの現代人には打ってつけの温泉である。

基本情報

都道府県
新潟
温泉名
貝掛温泉
施設名
貝掛温泉
泉質
ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉
住所
〒949-6211 新潟県南魚沼郡湯沢町三俣686
電話
025-788-9911

アクセス

アクセス方法
車:関越自動車道 湯沢ICから国道17号線約15分。
電車:JR上越新幹線 越後湯沢駅下車バスで約20分、貝掛温泉バス停より徒歩12分。送迎あり(要予約)。

調査表データ

温泉の歴史
開湯は鎌倉時代といわれる。上杉謙信公が関東出兵時にも使われ、江戸時代には眼病に効く温泉として知られ、明治時代には「快眼水」も販売された記録がある。泉源は開湯以来の自噴泉を直接内湯や露天風呂に投入している。
源泉
【源泉名】 貝掛温泉
【源泉所有者】 (株)貝掛温泉
【湧出地】 新潟県南魚沼郡湯沢町大字三俣686
【源泉の種類】 自噴泉
源泉湧出現状と引湯方法
【湧出状況】 自然湧出(自噴)
【温度】35.8℃ (測定年月日 平成15年2月18日(外気温3℃))
【湧出量】 約400ℓ/分(自噴量)
【引湯方法】 自然落差で給湯
【温泉の温度の調節方法】 内湯(男湯・女湯)、露天風呂(悦道大山)は源泉から湧出する低い温度のまま給湯している。温度の低い温泉は源泉に熱交換で循環掛け流しの小浴槽(女露天、露天小)も備えている。
温泉分析書および泉質名

【温泉分析書の分析年月日】平成15年2月18日(現地調査)
【分析機関名/分析者】社団法人 長野県薬剤師会検査センター 清水 正
【温度】 35.8℃(気温3℃)
【湧出量】 約400ℓ/分
【湧出地におけるpH】 8.0
【試験室におけるpH】 8.00
【蒸発残留物】 2285 mg/kg
【溶存物質(ガス性のものを除く)】 2285mg/kg
【成分総計】 2291 mg/kg
【療養泉の泉質名】 ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉
【浸透圧・液性・泉温による分類】 低張性弱アルカリ性温泉

陽イオン(試料1kg中の分量) 陰イオン(試料1kg中の分量)
イオン成分 (mg) イオン成分 (mg)
リチウムイオン 1.3 フッ素イオン 0.7
ナトリウムイオン 436.9 塩素イオン 1228
カリウムイオン 6.4 臭素イオン 7
マグネシウムイオン 0.6 ヨウ素イオン 3.9
カルシウムイオン 377.3 硫酸イオン 153.8
ストロンチウムイオン 1.2 リン酸水素イオン 0.4
マンガンイオン 0.03 炭酸水素イオン 17.1
アルミニウムイオン 0.03 炭酸イオン 0.9
陽イオン 計 823.8 陰イオン 計 1412
遊離成分 (mg) 溶存ガス成分 (mg)
メタケイ酸 24.3 二酸化炭素 6.6
メタホウ酸 24 硫化水素
非解離成分 計 48.3 溶存ガス成分 計 6.6

その他微量成分の記載は省略した。

定員および温泉利用料
【宿泊定員数】 80人
【客室数】 25部屋(源泉湯宿基準の定員数算出法:1人/4畳(主客室))
【温泉総利用量】 332ℓ/分
【定員1人当たりの温泉量】 4.15ℓ/分/人
給湯方式等の利用状況および浴場の状況

【給湯および利用方法】 源泉掛け流し(内湯(男湯・女湯)、露天風呂(悦道大山))。自噴源泉を落差を利用しパイプで各浴槽に給湯している。他に、温度の低い温泉は源泉に熱交換で循環掛け流しの小浴槽も備えている。
【浴場の数】 男湯:1 女湯:1 露天風呂:3

浴場種別 男 湯 女 湯 露天風呂 女露天 露天小
名称 内湯 内湯 悦道大山 外湯 外湯
浴槽面積(㎡) 18.5 18.5 40 14 3.3
浴槽体積(m³) 13 13 28 10 2.3
給湯量(ℓ/分) 86 86 90 45 25
給湯温度(℃) 35.8 35.8 35.8 42 42
換水回数(回/日) 1 1 1/3 1 1

【加水(冷却用)・加熱等の有無】 加水なし、女露天・露天小は熱交換加熱で昇温
【浴槽水の循環利用・ろ過・滅菌等の有無】 加熱湯は砂ろ過を行いオゾンで殺菌、源泉が一緒に湯口から流れ出ているため浴槽から常にあふれ出ている
【浴槽の清掃について】毎日1回換水、換水時に清掃。露天風呂(悦道大山)は3日に1回換水

備考
【調査表記入年月日】 平成16年12月18日

予約について

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