姥湯温泉桝形屋

 東北自動車道・福島飯坂ICから国道13号線で米沢方面に向かう。福島・山形県境に架かる板谷大橋を渡ると、五色7km・滑川9km・姥湯13kmと書いた標識が目に入る。そこで左折して脇道に入り板谷の集落を抜け、峠駅まで0.6kmの標識が立つ地点でも左折する。と、道路幅は一変して車一台が限度の細い坂道になる。そこから滑川まで4km、姥湯までは8km。滑川温泉の分岐でも左折し、さらに4km程を運転免許の試験を受けるような緊張した気持ちで運転を続ける。急に道が下りだすとフロントガラス越しに、硫気で変色した荒々しい噴気帯と、その上部にそそり立つ奇岩の山が現れた。姥湯温泉に到着したのである。宿の当主・17代目の遠藤 仁さんが、にこやかに迎えてくれた。
 当主の話によると、温泉の発見は後奈良天皇時代の天文二年(1533)、宿の先祖で金鉱堀だった遠藤大内蔵が山中で道に迷った時に、幼児を連れた老婆(姥)に出あい、湯が出る場所と帰りの道を教えてもらったことから姥湯と呼ぶという。姥湯温泉の建物は山小屋風で、吾妻連峰・烏帽子山(1879m)から発する前川の左岸に建っている。前川を中に挟んだ建物の南側には大日岳(1621m)の奇岩が高く聳え、宿の裏手は薬師森(1537m)の山体が迫っている。
 源泉は前川の右岸、大日岳中腹の標高1250m付近で湧出している。源泉地帯は酸性溶結凝灰岩で構成され、断崖に露出するその亀裂から自然湧出している(加藤武雄外、1974)。温度51.1℃、湧出量400ℓ/分、湧出地におけるpHは 2.5の酸性。蒸発残留物831.2mg/kg、溶存物質(ガス性のものを除く)817.2mg/kg 。 陽イオンの主成分はナトリウムイオン33.8mg/kg、カルシウムイオン47.5mg/kg、アルミニウムイオン25.8mg/kg 、陰イオンの主成分は 硫酸イオン519.5mg/kg。溶存物質(ガス性のものを除く)が1g/kg以下のため療養泉の泉質名は単純酸性硫黄温泉となっている。湧出地から塩ビ製のパイプで引湯し、溶存する硫化水素の酸化で生じる硫黄を採取する樋を通して温度を調節して露天風呂などに注いでいる。中でも、前川左岸の露天風呂・大日の湯は大日岳の絶壁を仰いで入る人気の風呂。

基本情報

都道府県
山形
温泉名
姥湯温泉
施設名
桝形屋
泉質
単純酸性硫黄温泉
住所
〒992-1303 山形県米沢市大字大沢姥湯1
電話
090-7797-5934

アクセス

アクセス方法
車:東北自動車道福島飯坂ICより国道13号線、板谷経由33㌔、約70分。駐車場より250m歩いて玄関に到着します。車は玄関に横着けできません。
電車:JR奥羽本線峠駅下車、宿泊客のみ送迎あり(要予約)車を降りて200m歩いて玄関に到着します。送迎車は玄関に横着け出来ません。

調査表データ

温泉の歴史
後奈良天皇時代天文二年(1533)、宿の先祖の遠藤大内蔵が発見して開湯。後に桝形屋を開業し、現在の当主は17代目になります。
源泉
【源泉名】 姥湯源泉
【源泉所有者】 自己所有(遠藤 仁)
【湧出地】 山形県米沢市大字大沢大日嶽840の1番地
【源泉の種類】 自然湧出
源泉湧出現状と引湯方法
【湧出状況】 自然湧出
【動力およびポンプの種類・型式】 -
【温度】 51.0℃
【湧出量】 400ℓ/分(平成3年7月4日測定)
【貯湯タンク】 なし
【引湯方法】 源泉から塩ビパイプにより自然落差で引湯している。引湯距離、200m。
【温泉の温度の調節方法】 湯の花を採る樋で温度を下げている。
温泉分析書および泉質名

【温泉分析書の分析年月日】平成17年6月27日(湧出地試験)
【分析機関名/分析者】日本環境科学株式会社
【温度】51.1℃(気温 21.6℃)
【湧出量】-ℓ/分
【湧出地におけるpH】 2.5
【試験室におけるpH】 2.5
【知覚的試験(湧出地)】 無色清澄にして収れん味を有し、わずかに硫化水素臭を有す。
【密度】 0.9990(20℃)
【蒸発残留物】 831.2mg/kg
【溶存物質(ガス性のものを除く)】 817.2mg/kg
【成分総計】 1058.mg/kg
【療養泉の泉質名】 単純酸性硫黄温泉
【浸透圧・液性・泉温による分類】 低張性酸性高温泉

陽イオン(試料1kg中の分量) 陰イオン(試料1kg中の分量)
イオン成分 (mg) イオン成分 (mg)
水素イオン 3.3 フッ素イオン 0.6
ナトリウムイオン 33.8 塩素イオン 22.2
カリウムイオン 17.9 ヨウ素イオン 0.5
マグネシウムイオン 7.4 ヒドロ硫酸イオン 58
カルシウムイオン 47.5 硫酸イオン 519.5
アルミニウムイオン 25.8
マンガンイオン 0.6
鉄(II)イオン 9.6
陽イオン 計 145.9 陰イオン 計 900.8
遊離成分 (mg) 溶存ガス成分 (mg)
メタケイ酸 64 二酸化炭素 230.1
メタホウ酸 6 硫化水素 10.7
遊離硫酸 0.5
非解離成分 計 70.5 溶存ガス成分 計 240.8

その他微量成分の記載は省略した。

定員および温泉利用料
【宿泊定員数】 37人
【客室数】 11部屋(源泉湯宿基準の定員数算出法:1人/4畳(主客室))
【温泉総利用量】 320ℓ/分
【定員1人当たりの温泉量】 8.6ℓ/分/人
給湯方式等の利用状況および浴場の状況

【給湯および利用方法】源泉から自然落差を利用して給湯
【浴場の数】 男湯:1 女湯:1 露天風呂:3

浴場種別 男 湯 女 湯 露天風呂 露天風呂 露天風呂
名称 大日の湯 山姥の湯 瑠璃の湯
浴槽面積(㎡) 6 7 35 12 24
浴槽体積(m³) 3.6 4.2 24.5 8.4 16.8
給湯量(ℓ/分) 40 40 100 70 70
給湯温度(℃) 41 41 41 41 42
換水回数(回/日) 1/2 1/2 1/2 1/2 1/2

【加水(冷却用)・加熱等の有無】 なし
【浴槽水の循環利用・ろ過・滅菌等の有無】 源泉かけ流し
【浴槽の清掃について】 2日に1回換水(内湯)、3日に1回換水(外湯)、換水時に掃除

備考
【調査表記入年月日】 平成16年11月8日
【現況調査記入年月日】 平成21年9月16日

予約について

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